高齢ポスドクの特徴

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最近、高齢ポスドクと呼ばれる方々と研究をご一緒する機会が増えまして、そこで感じたことがあります。

それは、高齢ポスドクの仲間入りをしてしまう人たちにはある程度の共通性があるということです。

 

一応ここで高齢ポスドクについて説明しておくと、博士号を取って研究者になるためには「ポスドク」と呼ばれる研究員を数年やるのが現在のキャリアパスの王道になっています。

このポスドクと呼ばれる期間は研究者にとってのまさに修行期間と言え、この間にいろいろな研究成果をまとめて大学教員という晴れ舞台に立っていくのです。

しかし、中にはこの修行期間が非常に長引いてしまい、いつまでたっても大学の講師や助教などのテニュアの職に着くことができない人がいるのです。

この高齢ポスドクは、他に就職口は少なく、かつ安月給、任期付という非常に不安定な身分で過ごしており、今の科学界の問題となっています。

 

日本のポスドクは年々高齢化しており、将来的にその数はさらに増えるとされている。 博士人材のキャリアパス多様化について ー 「科学技術創造立国」を目指して - のスライドより引用。

 

高齢ポスドクと呼ばれる人たちにたくさん会って気づいたこと

私は東京の国立大学の大学院で生物系の研究をしております。

最近、自分の研究内容に関連して40歳を過ぎた高齢のポスドクの方と時間を一緒にすることが多くなりました。

そこで気づいたのは、高齢ポスドクになってしまう人たちにはある程度の共通点があるのです。

 

共通点① 業績はまあ悪くはない

高齢ポスドクには、

「ろくに研究も出来なくて業績の少ない、無能な研究者」

というレッテルを張られがちですが、僕が今までに出会った高齢ポスドクの方々は決して無能というわけではありませんでした。

むしろ、なかなか優秀な方が多いのです。

論文の投稿数も多いですし、何よりも知識が多いです。

ディスカッションをしているとなかなか冴えているなぁと感心してしまうことも多々あります。

 

共通点② 自己主張強し

研究者の能力としては優秀なのですが、高齢ポスドクの方はなんだか自分を主張、肯定する雰囲気が強いと感じます。

なんというか、相手の意見を聞くというよりも自分だけが話しているような。

自分の意見は正しいというオーラを感じてしまうことが多いです。

ただ単に高齢だから説教臭いのかもしれませんが、同年代のテニュアの教員(助教や講師など)と比べると、その雰囲気は強く感じられます。

 

共通点③ 結婚していない率が以上に高い

今までに会ってきた高齢ポスドクの方々で、ご結婚をされていたのは全体の1割から2割程度です。

脅威の未婚率です。

高齢ポスドクという不安定な身分のせいで結婚できないのか、もしくは結婚できない様な性格だから高齢ポスドクなのかはわかりませんが、この事実には驚きですね。

 

共通点④ 陰口多し

高齢ポスドクの人は自分のボスに不満を持っていることが非常に多いです。

会うたびに自分のボスのグチを言ってくる人がいますが正直やめてほしいですね。

40歳を超えたおっさんの愚痴ほど惨めなものはありません。

 

共通点⑤ まあ、総じて世渡りが下手

まとめになってしまうのですが、高齢ポスドクの方々は研究者としては至って普通、もしくは普通以上だと思いますが、人間性で問題がある方が多い気がします。

もちろん、これは僕が今まで会ってきた高齢ポスドクの人たちだけを対象にしていますから、この意見が絶対的に正しいとは言いません。

(てか、高齢のポスドクの方でも人間的に素晴らしく、研究業績も素晴らしい方はたくさんいました)

 

しかし、高齢ポスドクの裏には何か人間性の共通点があるような気がしてなりません。

 

 

安倍首相はアベノミクスの重要政策として、日本の科学技術力を向上させようとしています。

その政策の一環として、ポスドクの仕事の幅を広げようと民間企業をポスドクの受け皿にしようとしていますが、高齢ポスドクの対応はなかなか難しそうだなぁと感じた今日この頃でした。

 

※この記事は、特定の個人を誹謗中傷した記事ではございません。あくまで自分が今までに会った高齢のポスドク方(10人以上)の雰囲気を俯瞰したものです。

 

科学と音楽と猫が好きなScientistです。

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コメント

  1. ひのき より:

    世渡り下手なのは、たぶん否定できないのだろうけど、大学に残ろうと思えば、それなりに次々とポストは見つかるし、そこそこの収入にはなるし、リスク覚悟で転進とか、決断するタイミングって、なかなか見つからないものだと思います。だから、不満ばかりが募るんじゃないかなと思います。
    もちろん、民間で、今までのスキルや学識がそのまま役立つところなんて、ほとんどないでしょうけど、経験を積んだポスドクの問題解決能力って、どこに行っても役に立つし、そこそこ評価されるはずなんですけどね。たぶん、その方が楽しいし、幸せに仕事できますよ。給料は安いけど(^^;

    • biotsubu より:

      コメントありがとうございます。

      >リスク覚悟で転進とか、決断するタイミングって、なかなか見つからないものだと思います。だから、不満ばかりが募るんじゃないかなと思います。
      たしかに、40近くになっていきなり民間に移動というのはかなりの決断がいりますね。
      でも、やっぱりある程度の区切りでアカデミアと決別する決断をさせるような仕組みを作らないと、多数の高齢ポスドクたちが50歳近くになって無職で溢れるという事態も出てくるかと思います。

      最近はまだマシになってきたとは思いますが、もっと民間企業が博士の受け入れに積極的になってくれれば今の高齢ポスドク問題は少しは良くなるんですがね。

      >経験を積んだポスドクの問題解決能力って、どこに行っても役に立つし、そこそこ評価されるはずなんですけどね

      確かに、思考力においてはポスドク達はずば抜けていると思います。
      ただ、それを社会が活かしきれていないのが現状だと思われます。

      >給料は安いけど(^^;

      お金が一番の問題ですね。
      僕の知り合いのポスドクは37にして手取りで月給18万円です。
      これでは家庭を気付くこともできないと嘆いております。
      見ていて本当にかわいそうです。

      • ひのき より:

        ご返信ありがとうございます。

        >50歳近くになって無職で溢れるという事態も出てくるかと思います。
        それが恐ろしいし、その人材を活かせない社会であれば、日本は、どーなっちゃうだろう?と思います。

        >もっと民間企業が博士の受け入れに積極的になってくれれば
        大企業は無理でしょう。優秀な新卒も集まりますし、即戦力の転職組も豊富に集まるでしょうから。
        うちは零細企業ですが、この10年ぐらいで、私を含めて2名の高齢ポスドクを採用してて、
        どちらもそれなりに働いてますので、社長が、味をしめて、もう一人欲しいと言い出しています。
        ・・・で、私に探してこい、との指令が(^^; もちろん、後輩や知り合いにはあたるんだけど、
        でも、零細企業にわざわざ来ようというポスドクさんは稀だし、どうやって探せばいいの?
        というのが、零細企業側の状況です。アカリクとかもあるけど、専門性が欲しいわけじゃなくて、
        要は思考力、問題解決能力が欲しいわけで、アカリクって感じじゃないし。

        >>給料は安いけど(^^;
        >お金が一番の問題ですね。
        >僕の知り合いのポスドクは37にして手取りで月給18万円です。
        ポスドクで手取り18万ですか?(@@; 科研バイトに毛の生えたような奴ということ?
        それなら、零細だけど、うちの方がマシです。零細でも40前後なら、少なくとも20は・・・
        しかも、零細の場合は、実力があれば、あっというまに幹部、役員になれちゃうし、
        そうなれば、利益次第で、いくらでも給料あがります。なかなか美味しいと思いますよ。
        (もちろん、零細の場合は、あっという間に、潰れちゃうリスクもないことは・・・
         でも、俺らなら、どんな状況だって、なんとかなるよ。いかようにも生きていけるって)

        というわけで、ここをご覧のポスドクの皆さん、零細企業に来ませんか?

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