クラウド型遺伝子解析用ソフトのBenchlingが便利すぎて辛い
ついに見つけてしまった。
僕が普段遺伝子解析のソフトで使っていたのはApeというソフトでした。
このソフト、フリーソフトとしては最強だったのですが、やっぱりローカルでの運用だったのでパソコンの環境をよく変える僕には問題が多かったんです。
こっちのパソコンで解析した配列情報をあっちのパソコンで解析するには、いちいちUSBに入れて持ち歩かなくちゃいけなくて面倒!
最近はDropboxの同期機能でなんとかやり過ごしていましたが、やっぱりいちいち同期させるのが面倒でした。
そんな折に、ついにクラウド型の遺伝子解析ソフトを見つけてしまいました。
このソフト本当にすごいんです。
めっちゃ便利なんです。
しかも基本機能は全部無料なんです。
市販のバカみたいに高いソフト(なんちゃらベクターなど)が頭がおかしいと思えるくらいなんです。
目次です。
クラウド型遺伝子解析ソフトBenchlingとは
このとってもかっこいいトップページを見てください。
最近の流行りであるbootstrapを利用したスタイリッシュなデザイン。
もう研究心に火がつきますね。
開発言語はPythonのようで、Rubyistの僕は少しがっかりです。
Benchlingはシリコンバレーのスタートアップ企業が開発、運営しているクラウド型サービスです。
出資にはシリコンバレー最大手のYコンビネーターも絡んでいます。
さすが、アメリカ。
分子生物の分野でもお金をがんがんつぎ込んで、未来の種を育てていますね。
日本にはこういうことにお金を回してくれる大人が一切いないからダメなんです。
先見性のない、しょうもない大人ばっかりです。
っと愚痴はこれくらいにしまして、Benchlingは何度も言っている通り、基本機能がすべて無料のクラウド型遺伝子解析ソフトです。
塩基情報の管理、制限酵素の場所チェック、アラインメント、プライマー作成、Blast、アノテーションなどなど、分子生物学の分野では必要不可欠なツールはすべて揃っています。
(むしろないものを探すのが大変なくらいです)
クラウド型のソフトなので、自分のデータはウェブ上に保存でき、いつでもどこでも自分のデータにアクセスができます。
ネット環境さえあれば、どんなパソコンでも同じ環境にアクセスできるのです。
また、巨大なゲノム情報を解析しようとすると市販のパソコンでは動作が重くなりますが、このBenchlingはクラウドですので、スイスイ動きます。
試しに大腸菌のゲノムを対象にしてコマンドFで検索しても、スイスイ目的の塩基情報にたどり着きました。
本当にすげえ。
Benchlingの操作画面
では、肝心の操作画面を見ていきましょう。
こちらがメインの画面。
元からお試しであったpBR322というプラスミドベクターの配列情報を開いてみました。
真ん中に塩基配列、右側にベクターの画像が出力されるようになっています。
真ん中で選択された塩基情報のポジションは右の画像で常に確認できるようになっています。
基本的には操作したい塩基配列を選択して右クリックすればすべての作業がスムーズにできるようになっています。
なんて便利なの!
Benchlingの便利な機能紹介
ではここからはざっとですが僕が便利だと思ったBenchlingの機能を紹介していきましょう。
プライマーを簡単に作成
プライマーを作りたい場所を選択して、「create primer」ですぐにプライマーが設計できます。
Tm値やGC含量、二次構造なども算出してくれます。
あと、プライマーを設計した場所は常に矢印マークで保存してくれますから、
「あれ?このプライマーのポジションどこだっけ?」
というあるあるネタはなくなります。
配列情報をデータベースから自動取得
短い遺伝子なら普通にNCBIとかからコピペでもいいんですが、馬鹿でかいゲノムとかになるとコピペで配列情報を貼り付けることはほぼ不可能です。
Benchlingなら問題ありません。
外部データベースの情報を自動で引っ張ってきてくれます。
検索もAccessionの番号を入れるだけです。
もちろん、アノテーション情報も同時にインポートしてくれます。
この機能のおかげで、僕は自分の実験で扱っている生き物の全ゲノム情報を20秒で取得できました。
Benchlingは神。
クリップボードにコピーする際の形式選択
選択した配列をコピーする際に、Benchlingでは上記のようにコピーの形式を選択できるようになっています。
普通のソフトなら、コピー、貼り付け、変換と一回一回操作しないといけないので便利ですね、
特にReverse&complementはよく使うのでとっても重宝します。
Benchlingは仏。
選択した範囲の超クイックBlast機能
「この配列、Blastかけたいなー」
というときにもBenchlingは心強いです。
範囲を選択して「Blast」のボタンを押せば、一瞬でNCBIに繋いでくれます。
いちいちNCBIに行って、配列をペーストする必要はありません。
Benchlingはもう女神。
配列情報をPDFに瞬時に出力
人に配列の情報を渡す時はやっぱりまだ紙媒体の方がいいって人もいますよね。
そんなときにもBenchlingは大活躍。
PDFボタンを押せば、配列情報を一発でPDFに変換してくれます。
しかも、アノテーションや制限酵素の場所、そして自分の作成したプライマーの情報なども併記してくれます。
なんか至れり尽くせりで凄すぎますね。
まとめ:分子生物学者は今すぐBenchlingに登録すべき
以上、簡単ですが便利な機能を紹介していきました。
正直、Benchlingにはまだまだ素晴らしい機能があります。
最近流行りのCRISPER/cas9のデザイニングツールなんかもあります。
クラウド型のサービスですので、最先端の技術をどんどん取り入れているようです。
正直、これだけの機能を持ったソフトが無料というのは本当に申し訳ないレベルです。
分子生物学に携わる人間ならば絶対に登録しておきましょう。
あなたの研究の効率は確実に良くなりますよ。