学部生必見!論文発表の為の「良い論文」の選び方
理系の学部生の方は研究室に配属されると定期的なゼミに出席するかと思います。
研究室によってスタイルは異なりますが、ゼミの形式は「研究の中間発表」と「論文発表」の二つが主流ではないでしょうか。
学部生の方で初めて論文発表に挑む人は、「どんな論文を紹介すればいいのだろう」という疑問を持ちがちです。
論文発表は自分だけではなく、みんなの時間を使って行うものですから、なるべくいい論文を紹介して、みんなが有意義な時間を過ごせるようにしましょう。
そこで今回は、学部生の方々に向けた「Google Scholarを用いた論文発表に向けた良い論文」の選び方をお教え致します。
目次です。
① 自分の研究分野の論文をGoogle Scholarや図書館のデータベースで調べる
まずは自分の関心のある分野、自分の研究分野の論文をGoogle Scholarで検索しましょう。
考えの古い人は「文献は図書館に行って調べろ」と偉そうに言いますが、このIT時代に図書館でコツコツと文献を調べるのは時代遅れで時間の無駄です。
まずはネットで調べましょう。
もしネットで調べても良さそうな論文がヒットしなかったら、図書館のデータベースを利用すればいいんです。
Google Scholarで検索する際は、自分の研究のキーワードを入力すれば何かしらは引っかかります。
例えば、再生医療に関しての論文なら「iPS cell」、細胞骨格なら「Actin」などがキーワードとして考えられますね。
ちなみに、Google Scholarにはアラート機能という自分の興味のある論文を探すには便利な機能がありますから利用してみても良いでしょう。
詳しくは下の記事から
Google Scholarのアラート機能で最新論文情報をいち早く知る方法
② 論文の出版日を絞り込む
論文を検索したら、そのキーワードに関する論文がざっと出てくると思います。
iPS cellならこんな感じに。
一覧で出てきたら、左の期間指定場所で新しい論文のみを絞り込みましょう。
基本的に3年以上前の論文はもう古いです。
2000年より前の論文は「化石」と思っていただいて結構です。
③ アブストラクトを読みまくって良さそうな論文をピックアップ
絞り込みを行ったら、論文のタイトルをクリックして、アブストを読みまくりましょう。
10本も読めば、自分の興味のある論文や自分の研究に有意義な論文が出てくるかと思います。
もしグッと来る論文がないようでしたら、検索キーワードが良くないです。
頭を使って新しいキーワードを考えましょう。
④ 雑誌のインパクトファクターを調べる。
自分の興味のありそうな論文をピックアップしたら、次にその論文の掲載雑誌のインパクトファクター(IF)を調べます。
IFについて知らない人のために、トムソンロイター社の解説をここに引用しておきます。
じっくり読んで下さい。
インパクトファクター(文献引用影響率)とは、特定のジャーナル(学術雑誌)に掲載された論文が特定の年または期間内にどれくらい頻繁に引用されたかを平均値で示す尺度です。これはトムソン・ロイターの Journal Citation Reports® (JCR®)が備えている評価ツールの 1 つです。
毎年Journal Citation Reports が公開するインパクトファクターは、被引用数と最近出版された論文との比率です。特定のジャーナルのインパクトファクターは、対象年における引用回数を、対象年に先立つ 2 年間にそのジャーナルが掲載したソース項目の総数で割ることによって計算します。
IFの調べ方は「雑誌名+IF」で検索すれば何かしら出てきます。
(例えばNatureだったら「Nature IF」)
ちなみに、IFが3以上ある雑誌に掲載されていたら「眉をしかめるような怪しい論文」である確率はほぼ0です。
しかし、IFなんて付いていな雑誌に掲載されている論文は少し不安ですので慎重になりましょう。
⑤ 著者を調べる
IFと同時にその論文の著者をしっかりと確認しておきましょう。
あまり大声では言いたくはないのですが、発展途上国の国々や中国、韓国の研究者のみで構成されている論文は信用度が少し低くなります。
たった一人でも欧米もしくは日本の研究者が入っていれば安心ですが、研究が成熟していない国の著者のみの論文はすこし疑いの目を持った方が良いでしょう。
また、「IFのない雑誌に掲載されている+欧米もしくは日本の研究者が一人もいない」というコンボの論文は地雷の確率がかなり高いです。
⑥ 論文の引用回数を調べる
Google Sholarで論文を検索すると、各論文の下に「引用元」という場所があります。
これは、その論文がこれまでに何回他の論文で引用されたかを表しています。
もしその論文が数十回程度の引用をされていたら「いい論文」の確率が非常に高いです。
もし、まったく引用されていないのならば「疑いの目」を持ちましょう。
ちなみに、新しく出版された論文は引用回数は少ないですので注意しましょう。
⑦ 引用文献の数を調べる
以上のステップを踏んでよさそうな論文を見つけたら、最後にその論文の引用文献の数をざっとでいいので見ておきましょう。
良い論文はたくさんの先行研究を精査して研究を組み立てていますから、必然的に引用文献の数が多くなります。
ですから、引用文献の数が明らかに少ない論文は、先行研究を踏襲していない残念な論文である確率が高いです。
どんなに少なくても30程度の引用文献があるかを調べましょう。
以上で、論文発表の為の「良い論文」の選び方を終わります。
皆さんもいい論文発表をして、ラボのメンバーからの尊敬の眼差しを独り占めしちゃいましょう。
では!