どうして大学院生はこんなにも不遇な境遇なのだろう:文系vs理系
最近なんだか自分の人生が上手くいっていないもので、若干ブルーになっています。
一番悩んでいるのが、今の自分の理系大学院生という身分の不遇さです。
大学院生というのは20代の後半になっても給料なんてものは貰えず、逆に学費を払い続けているわけです(TAやRAのバイト代は貰えますが学費とトントンです)。
周りの友達は皆、家族を持ち始めて生活の拠点が出来始めていく時期に、大学院生というのは研究室という牢獄に閉じ込められてせっせと実験をしてデータを集めているのです。
なんという不遇な立場でしょう。
もちろん、この選択肢を選んだのは自分ですからおおっぴらに不満を言う資格はないと思っています。
ですが、この場を借りて言わせていただきたいのです。
僕たちは日本の未来を思って日々研究をしているわけで、そのような若者がなぜこんな待遇を受けなければいけないのだろうと悩んでいます。
皆さんの将来をより良くする為に毎日論文を読んで、教科書を読んで、実験を進めているのに、この日本という国は大学院生にはとっても厳しいのです。
幸い僕は過去の記事で紹介したように、ネットビジネスである程度の収入を得ているので生活には困ってはいませんが、自分が頑張って稼いだお金が学費という大義名分の下にたくさん奪われるととても悲しくなります。
(本当に生活が苦しいならば学費免除申請というものが国立大学では出来ますので、お金に深刻に困る人は少ないですが)
この理系大学院生不遇の現状の原因は、日本のシステムを動かしている人には文系の人が多く、理系の境遇をわかっていないからだと思うんです。
理系の研究者を育成するのは学部教育だけでどうこうなるものではありません。
学部、修士、博士と長い時間をかけて科学的な思考力、判断力を得て、実社会に貢献できる研究者になって行くのです。
そして、この様に育って行った理系人材というのはこの資源の少ない日本の発展に多大に貢献できるポテンシャルを持っているのです。
文系人材にiPS細胞は作れたでしょうか?
日本のこの世界一のネットワーク技術は誰が作ったのでしょう?
数えきれないほどの革新が理系人材から生み出されてきました(います)。
そのような可能性を持つかもしれない大学院生に対してこの国、日本はなんとも非情なのです。
昨年ノーベル物理学賞を受賞した中村教授はこの様に述べていました。
アメリカは理系社会、日本は文系社会。文系が金持ちの国っていうのは後進国ですよ。優秀な技術者がいるのに。見ていてかわいそうですよ。
中村先生は日本の理系技術者に対する境遇の悪さに失望してアメリカに渡りました。
まさに人材の流出です。
日本が現在の理系軽視の世の中、特に理系大学院生を軽視する姿勢を続けて行くならば、将来的に優秀な大学院生の数は減って行き、理系研究の衰退を招き、日本は国際的な競争力を失っていくでしょう。
この文章を読んでくださった人に少しでも理系大学院生の不遇さを知っていただけたら大変幸いです。