中野信子博士の著書・「脳をどこまでコントロール出来るのか」を読んで
昨日、電車の待ち時間が暇だったので駅の売店に売っていた本をテキトーに買ったらとっても面白い本でした。
今日は、その本のレビューです。
買った本はこちら
この中野信子さんという方は全く存じ上げなかったのですが、ポスト茂木健一郎とまで言われているとっても有名な脳科学者なんだそうですね。
情熱大陸でも特集されていました。
さて、この「脳はどこまでコントロールできるのか」という本は、大筋は巷に溢れている心理学の本と脳科学の本の面白い所を合わせた様なものです。
とっても有名な心理学や認知科学の研究成果を、初心者にもわかりやすいように解説しています。
しかし、この本で面白かったのは、各研究結果の具体例がとっても面白いのです。
なんというか、この人は本当に教養があるんだろうなぁと感心するほど具体例のジャンルが広いです。
例えばコンコルド効果の具体例。
コンコルド効果とは、別名サンクコストと言われていますが、損切りに関する人間の錯覚です。
「有名なレストランに行って、コース料理を注文したとしましょう。
あなたはそのコース料理をとっても楽しみにしていましたが、実際に出てきた料理はとってもまずいものでした。
さて、料理はあと3品残っていて、コースを終えるのにあと1時間かかるとしましょう。
また、この調子で行けば後の料理も確実にまずいものか考えられるとしましょう。
この場合、あなたは残りの料理を全て食べてお金を払って帰りますか?
それとも、料理は食べず、会計をして、すぐに帰りますか?」
この質問をすると、大体の人間が
「もったいないから残りの料理も食べる」
と答えます。
しかし、実際の所は「まずい料理を食べて時間を潰してしまうより、レストランを早くでて余った1時間を楽しく使う方が有意義」なのです。
この様な認知のズレをコンコルド効果と言いますが、この現象のネーミングの由来になったコンコルドという飛行機の解説が詳しくてとっても勉強になったりしました。
(コンコルドとググれはよくわかります)。
また、心理学説でとっても有名な「ハロー効果:例えば東大卒という肩書きだけでその人すべてが印象が決まってしまうこと」の具体例には菊池寛の「形」から槍の名手だった中村新兵衛が鎧によって強そうに思われていた話を。
さらに、クラスター効果(全く関係のないものでも固まりで提示されると、その固まりに意味を見いだしてしまうという人間の性質)には松本清張の推理小説「点と線」を引用していました。
中野先生が提示したこれらの具体例のおかげで、心理学説を身の周りの現象に当てはめることの楽しさを知った気がします。
この他にも、とっても勉強になるような考察が含まれているのでもしお暇でしたら手に取ってみて下さい。