PCRの用語・条件・テクニックをまとめてみた

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このページではPCRの用語・条件・テクニックをまとめてみました。

 

これは便利!

 



1. 普通のPCR

アニーリング温度はプライマーのTm値から5を引いた温度が理想。

例えばTm値が60程度なら、55℃。

もし、フォワードとリバースでTm値が極端に違う場合は基本的に低い方に合わせる。

例えばフォアワード=60、リバース=65ならば、55℃でやってみることをお勧めします。

 

伸長時間はターゲットの長さによって変わる。

基本的に1kbあたり1minとっておけば問題はない。

 

(具体例)

94℃   2min

94℃       15sec

Tm値−5℃     15sec

72℃       1min/1kb       ×30サイクル

72℃ 2〜5min

4℃

 

2. グラジエントPCR

新しいプライマーの最適アニーリング温度を計るPCR。

Tm値−5℃のアニーリング条件でも何も増えない場合、もしくは非得意的なバンドが出てしまったときに試してみるべき。

基本的にグラジエント機能を持ったサーマルサイクラーが必要。

(もしグラジエント機能がないようならば、一回一回やるしかない)

基本的には「Tm値−5℃」を基準として2℃ぐらいづつ温度を割り振る。

(もしバンドが増えない場合は、低めに割り振り、非得意的なバンドが見られる場合は高めに振っていくと良い)

 

(具体例:Tm値が65の場合でバンドが増えない場合)

94℃   2min

94℃        15sec

(52,54,56,58,60,62℃)      15sec

72℃    1min/1kb        ×30サイクル

72℃ 2〜5min

4℃

 

(具体例:Tm値が65の場合で非得意的バンドが増えてしまう場合)

94℃   2min

94℃        15sec

(58,60,62,64,66℃)        15sec

72℃   1min/1kb        ×30サイクル

72℃ 2〜5min

4℃

参考資料

http://www.westlab.org/protocols/Gradient%20PCR%20for%20new%20primers.pdf

 

3. 2step(シャトル) PCR

2step PCR(シャトルPCRとも呼ばれる)とはプライマーのTm値が高い(最低でも70over)+プライマーが長い(30bp程度)場合に使える方法。

アニーリングと伸長反応のステップを一緒にすることにより、時間の短縮が出来る。

また、高温でアニーリングさせるため、反応の特異性がかなり高くなり、難しいPCRが上手くいくこともある。

ただし、酵素によっては2tep PCRに向いていなものもあるので注意が必要。

 

(具体例)

98℃   2min

98℃        15sec

68-72℃        1min〜3min/1kb      ×30〜40サイクル

72℃ 2min

4℃

 

4.タッチダウン(ステップダウン)PCR

タッチダウンPCR法とは、グラジエントPCRをしなくても特異的にターゲットを増幅させることが出来るPCR方法。

最初の数サイクルはアニーリング温度をかなり高めに設定し、徐々に下げていく。

すると、非特異的な産物の間違ったプライミングが起こる前に、望みの産物が増幅される事になり、目的のバンドだけを増やす事ができる。

 

 

(具体例:Tm値が60の場合)

94℃   2min

94℃ 15sec

59℃ 15sec

72℃   1min/1kb

94℃ 15sec

58℃ 15sec

72℃   1min/1kb

94℃ 15sec

57℃ 15sec

72℃   1min/1kb

94℃ 15sec

56℃ 15sec

72℃   1min/1kb

94℃ 15sec

55℃ 15sec

72℃   1min/1kb

94℃ 15sec

54℃ 15sec

72℃   1min/1kb

94℃ 15sec

53℃ 15sec

72℃   1min/1kb

94℃ 15sec

55℃ 15sec

72℃   1min/1kb   ×23サイクル

72℃ 2〜5min

4℃

参考文献

‘Touchdown’ PCR to circumvent spurious priming during gene amplification

 

5.Nested PCR(二段階PCR)

Nested PCR(二段階PCRとも呼ばれる)とは、増やしたい領域のプライマーではバックグラウンドがどうしても出てしまう場合に有効な方法。

例えば、ゲノムサイズがバカでかい生物の全DNAをテンプレートととして、かつコピー数がとても少ない遺伝子をPCRによって検出しようとする場合、用いたプライマーと類似の配列がほかにもたくさん存在してくるため、そのまま単純にPCRをしたのでは変なバンドがたくさん増えてしまう。

そこで、Nesated PCRでは、まずは目的のプライマーポジションよりも外側にプライマーを作り、PCRをする。

その後、その反応液をテンプレートとして、目的の産物を増やすプライマーでPCRを行えば、Nested プライマー(内側のプライマー)に類似した配列が存在する確率がgDNAよりも極めて低くなるため、非特異的増幅の“ノイズの海”から標的配列のみをうまく拾い出してくることが可能になる。

 

(絵でわかりやすく説明すると)

 

img_555b1b42d3c00

 

 

 

 

 

ちなみに、この名前の由来は、DNAの複製が鳥の巣のように内側へ重なって行われることから名付けられたそうです。

なんだかオシャンティー。

(参考資料)

http://www.kenkyuu2.net/cgi-biotech2011/biotechforum.cgi?mode=view;Code=860

 

 

 

 

こうまとめてみるとPCRといってもたくさんの種類がありますね。

皆さんも自分の目的に応じたPCRの方法を見つけてみてください。

それでは素敵なPCRライフを!

 

 

京都在住の科学系なんでもブロガーかつRubyistです。
専門は生物学やビッグデータの解析です。
一人旅が大好きで、休みにはしょっちゅう国内外をぷらぷらしています。

生命科学系の研究や美味しい飲み屋の情報を紹介しています。
また、ライフハック系の記事もよく更新しています。

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